昨今は「DXしないといけない」「DXこそビジネスの根幹」など、世間ではDXすることが当たり前、してないなんてありえない!という風潮ですよね。
ですが、そもそもDXって本当に必要なことなのでしょうか?
「DXしなくても、業務は回ってるし」
「売上だって落ちてない、なんなら右肩上がりで、安定した経営だし」
そんなDXに疑問のある方(タイトルに惹かれた方)に向けて本記事では「DXってなんなの?なんで必要なの?」におこたえしていきます。
DX推進に向けての対策は「【経済産業省から学ぶ】DX推進、どうしたらいい?」にてお話しておりますので、こちらもどうぞ!
「DX」ってなに?「デジタル化」「IT化」との違いは?
「DX」とは、Digital Transformationの略で、企業がデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善し、自社の競争率を高めることを指します。
「デジタル化」「IT化」も良く聞きますが、
「デジタル化」は、アナログ業務をデジタルにすることで業務効率化を目指すこと
(書類のペーパレス化、会議のオンライン化など)
「IT化」は、デジタル化したデータを自動化し、さらなる効率化を目指すこと
(経理業務をPC上で完結できるようにする、売上集計に自動ツールを使うなど)を指しています。
デジタル化、IT化は「手段」であり「内部に向けて業務効率化を目指すもの」
DXは「目的」であり「外部に向けて自社の価値を高めていくもの」
例)「アナログの顧客情報をデータ化し(デジタル化)、自動で取り込み集計できるようにして(IT化)、自動で集計したデータを分析して、新たな製品やサービスを生み出す(DX)」
DXって必要?「2025年の崖」って?
さて、結論からお話します。
「DXは必要です!」・・・ここで記事、終わらないです!(汗)
では、なぜ必要なのか?DX化しないと何が起こるのか?を詳しく解説していきます。
タイトルにもある「2025年の崖」という言葉をご存じでしょうか?
これは、2023年に経済産業省が『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』で定義されたもので、
2025年以降、日本企業のDX化が進まなかった場合、国際競争に負け、年間12兆円(いまの約3倍)の経済機会損失が予測される、というものです。
スイス国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界のデジタル競争力ランキング2023」では、
アメリカ、ニュージーランド、シンガポール、デンマーク、スイスの5か国が上位を占めています。
アジア圏でも、6位:韓国、9位:台湾、10位:香港、19位:中国と20位以内にランクインする中、日本の順位は64か国中32位。
2022年では29位だったところ、さらに順位を下げる結果となっています。
それほど、世界からみると日本のDX推進は遅れているのです。
どうして?日本でDXが進まない理由
レガシーシステム(既存システム)が足かせになっている
レガシーシステムとは、導入から20年以上が経過する旧型システムのことです。
技術面の老朽化に伴い、システムが複雑化したり、「だれが導入・構築したか分からない」いわゆるブラックボックス化してしまったりと、DXへの大きな課題になっています。
IT人材・IT資金の不足
DX推進に必要なのは、IT人材とIT投資の資金です。しかしながら、企業はどちらも足りていないのが現状です。
まず、人材においては2030年までに約79万人が不足すると推計されています。また、今いる人材の高齢化も問題視されています。
そして、IT投資については予算の8割が現行システムの維持に割り当てられているといいます。
この大きな原因となっているのがレガシーシステムです。レガシーシステムの長期的な運用や保守費の高騰に資金を使わざるをえない状況になっているのです。
IT資金について、詳しくは「【経済産業省から学ぶ】DX推進、どうしたらいい?」にて解説しています。
ユーザー企業とベンター企業との関係が不明瞭
日本では、自社でIT人材を保有していることは少なく、その多くをベンダー企業に頼っています。
ベンダー企業のITエンジニアに依存する形態は、下記のような問題に発展する可能性があるといいます。
・自社(ユーザー企業)にノウハウが残らない
・ユーザー企業の事業部(実際にシステムを使う人)とのコミュニケーションの難しさから開発に時間がかかったり、納品後に業務プロセスと差異が生じたりする
・ユーザー企業がベンダー企業に「丸投げ」の状態だと、「責任」や「作業分担」などの観点からトラブルになるケースがある
また、レガシーシステムの問題は潜在的なのでユーザー企業も把握していないことが多く、途中でレガシーシステムに気付き開発が中止になる可能性もあります。
DX推進を怠ると起こる2つのこと
レガシーシステムの悪化
レガシーシステム問題は、日がたつにつれて解決しづらくなってきます。
年々、運用や保守のコストが上がり続けるだけでなく、システムを構築した社員が高齢化したり、退職したりと「システムを知る人」がいなくなってしまうためです。
また、使用しているハードウェアやソフトウェアの製造・サポートの終了などが起こってしまうと、システムの更新や改修を行う前に現存のシステムの利用ができなくなってしまうリスクもあります。
「2025年の崖」から落ちる
昨今のビジネスにおいて、デジタル技術を活用した新たな価値の提供が企業には求められています。しかしながら、
・ベンダー企業へ「丸投げ」状態
・IT人材を自社で確保できない
・レガシーシステムを足かせになっている
など、DXを進められなければ、年々レガシーシステムの負担は増えるのに対し、増加し続けるデータの活用ができないため競争力も衰え、売上も上がらない・・・という結末になるリスクが高まります。
まとめと対策について
以上のことから、企業の存続や事業拡大のために「DXは必要である」といえます。
すでにレガシーシステムに悩まされていたり、ベンダー企業との連携がうまく取れていない・・・といった場合、どのようにDX推進に向けて対策すれば良いのかは「【経済産業省から学ぶ】DX推進、どうしたらいい?」で紹介しておりますので、ぜひそちらもご一読ください!
本記事参考)経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』