2020年の新型コロナウィルスの影響でリモートワークが急速に普及し、多くの企業が遠隔地から社内のシステムへアクセスする何らかの仕組みを導入しているかと思います。
最近では、当社のお客様からも、目的や運用ポリシーに応じてこれらの手段を見直す声が聞こえてきています。
今回の記事では、リモートでのシステム運用・保守にフォーカスを当て、普及している手段と具体的な製品・サービス名をご紹介します。ぜひ、見直しの参考にしてください!
はじめに
昨今、どの企業も共通の課題として認識されている「人手不足」。ニュースサイトを開けば頻繁に人手不足に関する記事がでてきますよね・・・。
例えば、先週(2024年5月23日)共同通信に掲載されてた記事によると近畿の企業は7割が正社員不足と回答しているのだとか。
IT関連企業ももちろん例外ではなく、人手不足のなか、いかに省人化して業務を効率化するか皆さん頭を悩ませているかと思います。
特に企業システムやネットワークの保守・運用業務は絶対に欠かせない業務の一つですが、人手不足が深刻化する中、自社あるいは顧客のトラブル対応などで現地に行く人的な余裕もないことが多く、極力遠隔地からの運用・保守が完結できる仕組みを構築しているのではないでしょうか。
改めてどのような仕組みがあるのか、具体的にどのような製品・サービスがあるかを見ていきましょう。
VPN(仮想プライベートネットワーク)
VPNとは?
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、インターネット上でプライベートなネットワーク接続を確立する技術で、客先ネットワークへのリモート接続やオフィス間の通信など、最も多く使われている通信技術の一つです。技術者が安全に企業の内部ネットワークにアクセスし、必要な保守作業や運用管理を行うことができます。
導入効果
セキュリティの強化:データ通信が暗号化されるため、情報漏洩のリスクが低減します。
アクセスの柔軟性:リモートワークが容易になり、技術者がどこからでもネットワークに安全にアクセスできます。
コスト削減:リモートアクセスが可能になることで、現地訪問の必要が減り、関連するコストを削減できます。
VPN製品例
- SoftEther VPN
リモートアクセス VPN と 拠点間接続 VPN を構築できるオープンソースのソフトウェアVPN - OpenVPN
オープンソースかつ導入が比較的容易なVPNソフトウェア。 - NordVPN Teams
ビジネス向けの強力なセキュリティ機能を持つVPN。
リモートアクセスツール
リモートアクセスツールとは?
リモートアクセスツールは、インターネットを介して遠隔地からネットワークにアクセスし、保守や運用作業を行うことができるツールです。これにより、現地に出向くことなく、ネットワークのトラブルシューティングや設定変更が可能になります。
導入効果
柔軟な対応:技術者がどこからでもネットワークにアクセスできるため、緊急時の対応が迅速になります。
作業時間の短縮:現地に行かずに作業が行えるため、移動時間を削減できます。
セキュリティの向上:アクセス制御や監査ログ機能により、不正アクセスを防止し、セキュリティを強化できます。
リモートアクセスツール製品例
- TeamViewer
リモートアクセスとサポートを提供する人気のツール。 - AnyDesk
高速で信頼性の高いリモートデスクトップソリューション。 - LogMeIn
リモートアクセスとIT管理を統合したソリューション。
クラウドベースの管理プラットフォーム
クラウドベースの管理プラットフォームとは?
クラウドベースの管理プラットフォームは、インターネットを介してネットワークの設定や監視、管理を行うことができるサービスです。これにより、物理的なサーバーやハードウェアの管理から解放され、効率的なネットワーク運用が可能になります。
導入効果
スケーラビリティ:必要に応じてリソースを拡張できるため、大規模なネットワーク管理が容易になります。
コスト効率:オンプレミスの設備投資が不要になるため、初期投資コストを削減できます。
リアルタイム管理:どこからでもネットワークの状況を把握し、リアルタイムで管理することができます。
管理プラットフォーム製品例
- Cisco Meraki
クラウドベースのネットワーク管理を提供するソリューション。 - Microsoft Azure
幅広いクラウドサービスを提供するプラットフォーム。 - Amazon Web Services
大規模なクラウドコンピューティングサービスを提供。
ネットワークトラフィック分析ツール
ネットワークトラフィック分析ツールとは?
ネットワークトラフィック分析ツールは、ネットワーク上のデータトラフィックをリアルタイムで監視し、異常や潜在的な脅威を検出するソフトウェアです。これにより、ネットワークのパフォーマンスを最適化し、セキュリティリスクを低減することができます。
導入効果
パフォーマンスの最適化:ネットワークのボトルネックを迅速に特定し、パフォーマンスの向上を図ることができます。
セキュリティの強化:異常なトラフィックや攻撃の兆候を早期に検出し、迅速に対応することができます。
詳細な分析:ネットワークの使用状況やトレンドを分析し、将来的なインフラの計画に役立てることができます。
ネットワークトラフィック分析ツール製品例
- SolarWinds Network Performance Monitor
強力なネットワーク監視と分析ツール。 - Wireshark
オープンソースのネットワークプロトコルアナライザー。 - MRTG(Multi Router Traffic Grapher)
オープンソースのMRTG (Multi Router Traffic Grapher) は、ルータなどネットワーク機器が送受信したデータの量(トラフィック)をグラフによって可視化するプログラム。
エンドポイント管理ツール
エンドポイント管理ツールとは?
エンドポイント管理ツールは、ネットワークに接続されているすべてのデバイスを一元管理し、ソフトウェアのインストール、セキュリティパッチの適用、リモートトラブルシューティングを行うことができるソフトウェアです。
導入効果
統合管理:複数のデバイスを一元管理することで、効率的な運用が可能になります。
セキュリティの強化:セキュリティパッチの迅速な適用により、脅威からデバイスを保護します。
作業の効率化:リモートでの管理が可能なため、現地に赴くことなく問題解決ができます。
具体的な製品例
- Microsoft Endpoint Manager
マイクロソフト社提供の統合エンドポイント管理を提供するツール。 - Symantec Endpoint Protection
強力なセキュリティ機能を持つエンドポイント管理ツール。 - Ivanti Endpoint Manager
包括的なエンドポイント管理ソリューション。
まとめ
今回は5つの手段をあげましたが、VPNは代表的な通信技術なので、客先ネットワークにアクセスするための手段として多くの企業が導入されているのではないでしょうか。
また、皆さんご存知の通り、それぞれの例に共通するのは大元のインターネット回線が使えなくなるとサービスそのものが使えなくなるので、バックアップ回線などと組み合わせることによって、より堅牢なシステムに出来ます。
企業内のセキュリティポリシー上、VPNは使えないといったケースも多く聞きます。
そのためにインターネットへ接続するだけで使えるリモートアクセスツールや、システムの一部をクラウドへ移行してしまうなど、様々な手段が考えられると思いますので、自社や顧客の環境や目的にあわせた手段、ツールを検討してみてください!