DHCPサーバーの導入手段を比較してみた

ITネットワークにおける通信で必要となるIPアドレス。多くの方が何かしらの手段でDHCPサーバーを導入し、PCやタブレットなどの端末へIPアドレスを配布していることがほとんどだと思います。

当社のDHCP専用機(EasyBlocks DHCPシリーズ)の商談をしているときに、「ルーターについているDHCP機能でIPアドレス配布するのと何が違うの?」というご質問を頂きます。

IPアドレスを配布する手段はいくつかありますが、今回の記事では、ルーター、自作サーバー、DHCPアプライアンスによるIPアドレス配布について、どのような違いがあるのかを比較してみましたので、ネットワーク構築の際の参考になれば幸いです。

ルーターによるIPアドレス配布

ビジネス用途で使われるルーターの大半には、DHCPサーバー機能が組み込まれており、ネットワーク内のデバイスに自動的にIPアドレスを割り当てることができます。

  • 簡便性: 既存のネットワーク機器として導入が容易で、設定も簡単。
  • コスト効率: 追加の専用機器を購入する必要がなく、総合的なコストを抑えられる。
  • 一元管理: ネットワーク管理を一つのデバイスで行えるため、効率的な管理が可能。
  • 制限された機能: 一部の高度なカスタマイズや特殊な設定には制限がある。
  • スケーラビリティの問題: 非常に大規模なネットワークでは限界がある場合がある。
  • 依存度: ネットワーク管理の全てをルーターに依存するため、ルーターの故障時に影響が大きい。

自作サーバーによるIPアドレス配布

自作サーバーを用いてDHCPサーバーを構築する方法です。LinuxやWindows ServerなどのOSをインストールし、DHCPサーバーソフトウェアを設定することで、ネットワーク内のデバイスにIPアドレスを割り当てることができます。高度な設定やカスタマイズが可能で、大規模なネットワークにも対応できます。

  • 柔軟性: ネットワークの特定のニーズに合わせて細かい設定が可能。
  • カスタマイズ: 高度なカスタマイズが可能で、特定の要件やセキュリティニーズに対応できる。
  • スケーラビリティ: ネットワークの規模に応じてハードウェアやソフトウェアを調整できる。
  • 専門知識が必要: 設定や管理には高度なIT知識が求められる。
  • コスト: サーバーハードウェアの購入や電力コスト、維持管理にかかる費用が発生。
  • 管理の手間: サーバーの運用管理には時間と手間がかかる。

IPアドレス払い出し数が数千規模の大規模ネットワークかつカスタマイズを行いたい人向け

DHCPアプライアンスによるIPアドレス配布

DHCPアプライアンスは、特定の目的のために設計されたハードウェアデバイスで、ネットワーク内のデバイスにIPアドレスを割り当てるために使用されます。高い信頼性とパフォーマンスを提供し、大規模なネットワークや企業環境に適しています。

  • 払出性能を担保: 最大いくつまでIPアドレスを払い出せるか、秒間どのくらい払い出せるかを明示している事が多い。
  • 高可用性: 2台で冗長化できる仕組みが用意されている事が多く、可用性を高くする事が可能。
  • 専門サポート: 専用機のメーカーからのサポートを受けられるため、トラブル対応が迅速。
  • 高コスト: 専用機の購入費用が高く、導入コストがかさむ。
  • カスタマイズ不可: 使いたいDHCPオプションが使えない事がある。
  • 過剰な機能: 小規模ネットワークにはオーバースペックとなることがあり、費用対効果が低くなる場合がある。

IPアドレスの払い出し数が決まっている。導入作業や保守などに手間をかけたくない人向け

まとめ

IPアドレス配布の手段は、ネットワークの規模や特定の要件に応じて選択することが重要です。小規模なネットワークではルーターを利用するのが手軽でコスト効率が高く、数千を超える端末や機器へのIPアドレス配布を行うような大規模なネットワークや特定の要件がある場合は自作サーバーもしくはDHCPアプアイアンスの導入が適しています。それぞれの手段の長所・短所を理解したうえでDHCPサーバーを選定しましょう。

ちなみに、「DHCPサーバー立ててみた!【はじめてのネットワークサーバー】」では、Linuxサーバーを使った自作DHCPサーバーの簡単な立て方についてご紹介しています。こちらもご参考になれば幸いです。

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