これまでに、EasyBlocks DHCP AS 2500/5000 や EasyBlocks DDN1 Enterprise の製品紹介や冗長構成に関する記事を公開してきました。
これらでは「2台構成」を前提とした冗長化について解説していましたが、今回は 3台構成による冗長化 を試してみます。
※なお、3台以上の冗長構成は2025年6月5日時点で公式にはサポートされていません。
正式サポートが開始された際には、リリース情報や製品ページにて告知される予定ですので、今しばらくお待ちください。
はじめに
今回はEasyBlocks DHCP AS 2500を使用しますが、製品紹介や基本的な冗長機能についての解説等は以前公開した以下の記事を参考にしてください。
また、本内容はEasyBlocks DHCP AS 5000及び、EasyBlocks DDN1 Enterpriseでも同様です。
<参考記事>
【DHCP AS / DDN1 Enterprise】冗長構成の注意点
【製品紹介】~第6弾~EasyBlocks DHCP ASってなに?
DHCPサーバー『Active-Active構成』と『Active-standby構成』どっちがいいのか?
【製品紹介】~第9弾~EasyBlocks DDN1 Enterpriseってなに?
【冗長化解説】ActiveとStandbyの切り替わり、なんの情報が同期されるの?
3台構成の冗長化 概要
今回は、3台構成による冗長化を検証します。構成としては、1台目が Active、2台目と3台目が Standby という形になります。

この構成では、Active 機に障害が発生した場合でも、残る2台の Standby のうち1台が Active に切り替わり、2台構成での冗長動作が継続されます。
さらに、その後もう1台に障害が発生したとしても、1台が動作を引き継ぎ、サービスが継続されます。
つまり、最大で2台の障害に耐えられる高い可用性を実現できる構成となっています。
Activeの選定条件
3台の冗長構成時、Standbyは2台存在しますが、Activeに障害が発生した際に、次のActiveになる装置は冗長設定、「プライオリティ」の値が大きいノードとなります。
今回は以下のようにそれぞれ設定しています。
ノードA(n0060e0a43f5f)
ノード種類:アクティブ
プライオリティ:50

ノードB(n0060e0a43fb9)
ノード種別:スタンバイ
プライオリティ:40

ノードC(n0060e0a43f5fd3)
ノード種別:スタンバイ
プライオリティ:30

動作確認
では、1台ずつ障害を発生させて切り替わりを確認していきます。
今回は1台ずつ障害を発生させて、ダッシュボード上のノードステータス一覧とネットワークタブにある状態確認からサービス用IPアドレスの状況を見て、正常に切り替わっているかを確認します。
状態1 正常時
<ノードステータス一覧>

ノードA Active(プライオリティ50) 正常
ノードB Standby(プライオリティ40) 正常
ノードC Standby(プライオリティ30) 正常
<ノードAのネットワーク状態>
eth0に自身のIPアドレスである192.168.254.10/24と、サービス用のIPアドレスである192.168.254.100/24が割り当てられていることが確認出来るので正常です。

状態2 ノードA障害時
<ノードステータス一覧>

ノードA Active(プライオリティ50) 障害
ノードB Standby(プライオリティ40) Activeへ昇格
ノードC Standby(プライオリティ30) 正常
<ノードBのネットワーク状態>
ノードステータス一覧から、ノードAが冗長構成から外れて見えなくなり、ノードBがActiveへ移行したことが確認出来ます。
ネットワーク状態もノードB のeth0に自身のIPアドレスである192.168.254.20/24と、サービス用のIPアドレスである192.168.254.100/24が割り当てられていることが確認出来るので正常です。

状態3 ノードB障害時
<ノードステータス一覧>

ノードA Active(プライオリティ50) 障害
ノードB Standby(プライオリティ40) 障害
ノードC Standby(プライオリティ30) Activeへ昇格
<ノードCのネットワーク状態>
ノードステータス一覧から、ノードBが冗長構成から外れて見えなくなり、ノードCがActiveへ移行したことが確認出来ます。
ネットワーク状態もノードC のeth0に自身のIPアドレスである192.168.254.30/24と、サービス用のIPアドレスである192.168.254.100/24が割り当てられていることが確認出来るので正常です。

状態4 ノードA/B復旧時

ノードA Standby(プライオリティ50) 正常
ノードB Standby(プライオリティ40) 正常
ノードC Active(プライオリティ30) 正常
ノードステータス一覧から、ノードAとノードBがStandbyとして冗長構成に組み込まれたことが確認できました。
今回試したのはActiveノードでリンクダウンを発生させた障害切り替わりテストのみですが、結果として2台までは障害が発生してもサービス提供の継続が可能でした。
まとめ
今回ご紹介した 3台以上による冗長構成により、これまで以上に高い耐障害性を実現できるようになります。
特に、「サービスの停止を限りなく防ぎたい」「より強固な冗長構成が求められる」といったシビアな運用環境において、その効果を発揮する構成です。
万が一、複数台に障害が発生しても、サービスを継続できる仕組みを備えている点は、業務継続性を重視するシステムにとって大きなメリットになります。
なお、本構成は現時点ではまだ公式サポート対象外となっており、サポート開始の時期も未定です。
進展があり次第、弊社Webサイトや製品ページにてお知らせいたしますので、ぜひ今後の情報にもご注目ください。