お客様との商談で、最初に聞かれることがここ1年で変わりました。
以前は「これ、何ができるんですか?」でした。今は「これ、いつ入りますか?」です。
機能やスペックより先に納期。値段の話は「上がってますよね、知ってます」で終わる。それくらい、IT機器の調達環境が変わってきています。
「IT機器が値上がりしている」こと自体は、この業界にいる方ならもう共通認識だと思います。ただ、「実際どこまで上がっているのか」「いつまで続くのか」を数字で見る機会は意外と少ないのではないでしょうか。今回は、現場で毎日この話をしている立場から、実際の価格データも交えて、いまの状況をまとめてみようと思います。
現場で実際に起きていること
まず数字の前に、営業・マーケの現場で実際に感じていることから。
- 見積もりの「有効期限」がどんどん短くなっている
- 商談の場で、製品スペックの話より先に納期の話になる
- お客様側でも「予算を取ったときの金額では買えない」問題が起きている
実際に、最近お客様からいただいた相談はこんな感じです。
「入札案件が控えているんですが、今年の年末納品予定で、今の価格を今のまま約束できませんか?」
「次の価格改定はいつを予定していますか?」
入札案件は応札時の価格で納品まで走り切る必要があるので、切実さがよくわかります。年末納品なら半年先。以前なら「大丈夫ですよ」と即答できた話です。
ただ、正直にお伝えすると、当社もこうしたご要望に確約ができていません。部材調達の先行きが不透明で、半年先の価格を「今のままで」とお約束するのが難しい状況だからです。お客様の事情は痛いほどわかるのに、約束できない。これが今のリアルです。。
そしてこれは当社に限った話ではなく、業界全体で同じことが起きています。
【実データ】サーバー用SSD、1年半でこうなった
「実際どれくらい上がってるの?」という声にお応えして、ひとつ実例をお見せします。当社もECサイトで販売しております、とあるメーカー製サーバー用SSD(容量約1TB)の販売価格の推移です)。
- 2025年1月:175,607円
- 2026年2月:653,386円
- 2026年3月:1,050,107円
- 2026年4月:1,911,642円
- 2026年5月:2,380,799円
- 2026年6月:2,520,846円
1年半でなんと約14.4倍。

グラフにしてみて、自分でもちょっと引きました。17万円のSSDが、気づけば250万円。しかも2026年に入ってからは、ほぼ毎月数十万円単位で上がっています。もはや値上がりというより、別の商品です。
一応補足しておくと、これはサーバー用の高耐久品というかなり極端な例で、すべてのSSDがここまで上がっているわけではありません。ただ、上昇の「向き」と「勢い」は業界全体で共通しています。
業界全体でもこうなっている
当社の観測だけではなく、公開されている情報でも状況は同じです。
PC Watchの相場調査によると、DDR5メモリの売れ筋モデル(16GB×2枚)が2025年夏と比べて約5.3倍に値上がりしたと報じられています。IDCのアナリストへの取材記事(キーマンズネット)でも、メモリ価格は従来の3〜4倍に高騰しているとの指摘があります。


完成品側も動いていて、Dell・Lenovo・HPの大手3社が相次いで値上げを予告。Lenovoに至っては顧客へ「現在の見積価格は2026年1月1日にすべて無効になる」と通知した、という報道もありました。見積もりが期日で一斉無効。なかなか聞いたことがないです。国内でも、PC Watchが国内PCメーカー13社にアンケートを取ったところ、6割以上が値上げを実施・予定と回答しています。
納期も同様で、大手サーバーメーカーで納期8週間超、「納期回答が未定のまま数ヶ月」というケースも報告されています。IDCの見立てでは、この供給の「谷間」は少なくとも2027年半ばまで続き、需給が本格的に回復するのは2028年になる見通しとのこと。
つまり「値段は上がる、モノは来ない」のダブルパンチが、当面終わらないわけです。
なんでこうなった?
これも皆さんご存知かと思いますが、ざっくり言うと生成AIブームです。
AIの学習・推論にはHBMという特殊な高性能メモリが大量に必要で、メモリメーカー各社が生産ラインをHBM優先に切り替えました。その結果、普通のサーバーやネットワーク機器に使うメモリ(DDR5など)やストレージの供給が細ってしまった、というのが大きな構図です。
ちなみにHBM(High Bandwidth Memory)というのは、GPUのすぐ隣に積んで超高速でデータをやりとりするためのメモリのこと。利益率が高いので、メーカーとしてはそっちを作りたくなるわけです。気持ちはわかる。でも困る。
そこに円安による輸入部材コストの上昇も乗っかってきて、いまの状況になっています。
で、どうすればいいのか
私から言えることはシンプルで、IT機器の導入・リプレイスを検討しているなら、早めに動いたほうがいいです。
- 「待てば安くなる」は、当面通用しなさそう(本格回復は2028年の見方が主流)
- 見積もりの有効期限が短いため、検討に時間をかけると「その値段では買えない」が普通に起きる
- 保守期限(EOL)が近い機器を「壊れたら考える」で放置するのは、いまはかなりリスクが高い
特にEOLが迫っている機器をお使いの場合、いざ更新しようとしたときに「モノがない&予算オーバー」という一番つらいパターンに入りかねません。導入計画の前倒し検討をおすすめします。
一応、望みもある
暗い話ばかり書いてきましたが、一応、望みもあります。
調査会社のガートナーは、世界の半導体市場について「2027年までは成長が続くものの、2028年にはメモリー価格の下落によって市場が縮小に転じる」という予測を出しています。つまり、メモリの供給が追いついて価格が下がる局面が、2028年頃には来るかもしれない、ということです。

もちろん、こうした予測が実際どうなるかは誰にもわかりません。ただ、「永遠に上がり続けるわけではなさそう」というのは、一縷の望みではあります。
とはいえ2028年まで待てる案件ばかりではないと思うので、「待てるものは待つ、待てないものは早く動く」の仕分けが現実的なところだと思います。
ちなみに、うちの状況
最後に、当社の状況も正直にお伝えしておきます。
先に書いたとおり、当社も部材コスト上昇の影響はゼロではなく、価格改定を実施しています。そして半年先の価格をお約束することも、残念ながら今はできていません。ここは隠さず書いておきます。
一方で、「将来の価格」は約束できなくても、「今の在庫」は確かにあります。国内で企画・生産している分、在庫を確保できている製品も結構あるんです。
EasyBlocksやOpenBlocksは、モノによっては即納できるものもありますので、「納期未定」に疲れた方は、ぷらっとオンラインで在庫状況を見ていただくか、お問い合わせフォームから納期状況を聞いてみてください。「え、そんなに早いの?」と言っていただけることもあります(最近ちょっと嬉しい瞬間です)。
こういう状況だからこそ、「国内で作っている」ことの意味を改めて感じている今日この頃です。状況が大きく動いたら、また続報を書こうと思います。(※国内で作っていることについても過去に記事を書いたのでこちらも読んでみてください。)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

