本記事では、2025年3月末頃にリリース予定のEasyBlocks リソース監視のアップデート情報を先行紹介します。
EasyBlocks リソース監視は、ルーターやサーバーのトラフィック情報、CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率などを監視・可視化できる製品です。
ただし、ベンダー固有の拡張MIBは使用できず、標準MIBに基づいた情報取得となります。
※YAMAHA製ルーター(RT105/RT140シリーズを除く)については、CPUコア使用率のみ取得可能です。
今回はアップデート予定の新機能を活用し、YAMAHA製ルーター(RTX830)のメモリ使用率を取得・監視する方法を紹介します。この方法を使えば、EasyBlocks リソース監視が未対応のネットワーク機器の情報も収集・監視できるようになります。
はじめに
EasyBlocks リソース監視は、SNMPを使用してネットワーク機器のトラフィックやサーバーのCPU・メモリ・ストレージ使用率を収集・監視しています。
SNMPで使用しているMIB(Management Information Base)とは、SNMPで利用可能な情報をツリー構造で記述したテキストファイルです。MIBには「標準MIB」と「拡張MIB」の2種類があり、EasyBlocks リソース監視は標準MIBのみを使用し、拡張MIBを取り込む機能はありません。そのため、ベンダー固有の情報は取得・監視できません。
例えば、CPU使用率などのOID(Object Identifier)はベンダーごとに異なり、拡張MIBを取り込まなければ情報収集・監視ができない場合があります。
新機能について
新機能では拡張MIBを取り込むことはできませんが、自作プラグイン(スクリプト)を用意することで、標準機能では対応していない監視も可能になります。
つまり、これまで拡張MIBが必要だった項目でも、自作プラグイン内でOID(Object Identifier:各情報に割り当てられる一意の番号)を直接指定すれば、情報取得・監視ができるということです。今回はこの方法を試します。
自作プラグインの準備
プラグインといっても、実態は自作のスクリプトです。
参考として「/var/webui/plugin/」以下に配置されているスクリプトがあります。
(EasyBlocks リソース監視をご使用中のお客様はぜひ該当ディレクトリを確認してみてください)
ここには、EasyBlocks リソース監視で使用されているCPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率のスクリプトが含まれていますので、自作プラグイン作成の際に参考にしてください。
スクリプトアップロード

①監視コマンドプラグインを選択し、②ファイルを選択し、③確認を押します。
確認を押すと以下のように展開されます。

ここからプラグイン名等を設定していきます。
今回は以下の通りにしました。

テスト用のため、①のプラグイン名などはすべて「test」に設定しました。②は、用意したスクリプト実行時に渡される引数です。
今回のスクリプト内では、RTX830のメモリ使用率を取得するために以下のコマンドを実行しています。
snmpwalk -v 2c -c public 172.16.7.133 .1.3.6.1.4.1.1182.2.1.4.0
各要素の意味は以下のとおりです。
- snmpwalk:SNMP情報を取得するコマンド
- -v 2c:SNMPのバージョンは2c
- -c public:コミュニティ名はpublic
- 172.16.7.133:取得対象のRTX830のIPアドレス
- .1.3.6.1.4.1.1182.2.1.4.0:メモリ使用率のOID
これらを実行引数として順番に設定します。引数の4番目と5番目には、ワーニング(-w)とクリティカル(-c)の閾値を指定します。
すべて入力したら②を押すと、以下のような結果が得られます。

①で動作確認用変数を実際に入力します。1番目の引数はRTX830のIPアドレス、2つ目はコミュニティ名、3つ目はsnmpのバージョン、4つ目はワーニングの閾値、5つ目はクリティカルの閾値をそれぞれ入力して、②動作確認ボタンを押します。

5番目の引数(クリティカルの閾値)を30としていたので、①の通り結果は34%となり、CRITICAL判定となります。
試しにOK判定となるような閾値に変更したいので、ワーニングを40、クリティカルを80としてみます。

②の通り、OKの結果になることが確認できました。

次に、追加した自作プラグインを使用して監視パターンを作成します。
名称、監視対象、通知先、チェック間隔などを適宜設定し、以下の手順で監視コマンドを設定します。
①追加プラグインを選択、②プラグイン名から追加したプラグインを選択、③変数指定(実行引数定義欄に設定された変数に実際の値を入力)
変数は「!」で区切って指定します。今回は、実行引数定義を以下のように設定しました。
-o $ARG1$ -v $ARG2$ -w $ARG3$ -c $ARG4$
それぞれの変数には、以下の値を指定します。
- -o $ARG1$ → コミュニティ名:「public」
- -v $ARG2$ → SNMPバージョン:「2c」
- -w $ARG3$ → ワーニング閾値:「10」(10%以上で警告)
- -c $ARG4$ → クリティカル閾値:「30」(30%以上で重大警告)
これで、メモリ使用率が10%以上でワーニング、30%以上でクリティカルとなります。
確認

監視状況一覧で確認すると赤く囲った通り、メモリ使用率が34%のためクリティカル判定になっていることが確認できました。
まとめ
今回はEasyBlocks リソース監視の新機能を使用し、特定のOIDを指定した監視を試しました。
自作のプラグインを用意する必要があるため正直、難易度は高めです。
しかし自作のプラグインを使用出来る機能があることで、より活用の幅が広がるのは間違いありませんので是非ご活用ください。